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初年度胃カメラ
結果詳細

おおの内科クリニック 院長です。

2018年4月から2019年3月までに当院で行った胃カメラの件数は562件でした。

そのうち、生検を行った件数は60件でした。

そのうち、進行胃がんが3名、食道異型上皮(癌になる可能性がある病変)が2名でした。

生検率は10.7%、癌発見率は0.53%でした。

2014年から胃がん検診の手段として胃カメラが可能になって以来、がん検診学会ではその精度管理について活発な議論が行われるようになりました。

対策型胃がん検診での生検率は15~20%以下に抑えることが妥当と言われています。

逆に、それを超えて生検をすることは過剰医療と言えます。

生検すべきでない病変として、「胃底腺ポリープ」・「小さな過形成性ポリープ」・「びらん性胃炎」が挙げられていまして、これらは高画質の内視鏡で詳細に観察すれば良悪性の区別が診断可能と言われているためです。

むしろ、不要な病変に生検することは、生検後の出血という不利益を生むばかりでなく、3割負担で3,000~6,000円の追加負担が発生してしまいます。

当院では細径の経鼻内視鏡のみを使用していますが、近接して観察するとハイビジョン画像となるため、丁寧に観察することで正確に診断し、極力過剰な生検を行わないように心掛けています。

当院では胃がん検診だけでなく、症状があって検査を受けにこられる方も多くいるため、対策型胃がん検診よりも生検の必要な方は必然的に多くなります。

それにも関わらず、生検率10.7%であったという結果は、丁寧な内視鏡観察を心掛けた成果の現れだと思っています。

がん発見率に目を向けると、当院では0.53%でしたが、これはある自治体の対策型胃内視鏡検診でのがん発見率0.3%を上回っております(参考ですが、バリウムの胃がん検診では0.1%です)。

当院で胃カメラを受けられた方には有症状者も含まれるため、当然と言えば当然の結果ですが、胃がん検診対象者(50歳以上)と比較して、当院では若い方が多く検査を受けられているため、そのことを差し引くと、検査精度も良い結果だったと言えるでしょう。

引き続き今年度も、丁寧で正確な内視鏡診療を心掛けていきたいと思います。