胃カメラ 病理結果集計
(2018~2021)
2021年度までに、当院で行った上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)での、生検の結果を集計しました。
胃内視鏡検査(年度) | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 |
進行食道癌 | 0 | 0 | 1 | 1 |
早期食道癌 | 0 | 0 | 0 | 1 |
食道異型上皮 | 2 | 5 | 2 | 7 |
食道平滑筋腫 | 1 | 0 | 0 | 0 |
好酸球性食道炎 | 0 | 0 | 2 | 4 |
進行胃癌 | 3 | 6 | 1 | 1 |
早期胃癌(腸型) | 0 | 1 | 2 | 7 |
早期胃癌(胃底腺型) | 0 | 0 | 1 | 0 |
胃腺腫 | 0 | 3 | 2 | 3 |
胃内視鏡検査数 | 562 | 958 | 1056 | 1438 |
生検数 | 60 | 97 | 81 | 66 |
生検率 (%) | 10.7 | 10.1 | 7.7 | 4.6 |
生検有所見率(%) | 10.0 | 15.5 | 13.6 | 36.4 |
癌発見率(%) | 0.53 | 0.73 | 0.47 | 0.70 |
陽性反応適中度(PPV) | 5.00 | 7.22 | 6.17 | 15.15 |
昨年度は、「進行」食道癌が1名、「早期」食道癌が1名、「進行」胃癌が1名、「早期」胃癌が7名、当院で発見されました。
「進行」と「早期」の違いは、「早期」と比べて「進行」は癌が転移している可能性が高い、という意味です。
「早期」癌で見つかった方は、定期的に胃カメラで検診を受けられていた方がほとんどでした。
「胃腺腫」とは、将来「胃癌」になる可能性が高い病変の事で、こちらも内視鏡治療の対象になります。
2020年に、新型コロナで胃がん検診の受診が減った影響でしょうか、2021年は胃癌や胃腺腫が例年よりも多く発見されました。
2021年は好酸球性食道炎も多く発見されました。最近アレルギー疾患の患者が増えてきていますね。
ここからは、検診の精度管理の話になります。
2022年度から、各務原市でも胃がん検診の2重読影がスタートしました。
各務原市の診療所で行った胃カメラの検査画像を、クラウド経由で岐阜大学第一内科の先生方がダブルチェックをされます。
平成30年度の岐阜県資料によると、各務原市で胃がん検診を受けられた方のうち、16.1%もの患者さんが生検されていました。
以前のブログでも触れましたが、胃癌検診の生検率が15%を超えるという事は、内視鏡医の能力不足により無駄な検査が多くされている事になります。
生検は、保険3割負担で5000円程度もの負担増になるので、必要最小限の患者さんにだけ実施されるべきです。
検診画像のダブルチェックは、癌の見落としの確認が第1の目的ですが、無駄な検査の抑制が第2の目的です。
平成30年度に岐阜県で胃がん内視鏡検診を実施した6自治体のうち、生検率が15%を超えていたのは各務原市だけでした。
今回の2重読影を期に、各務原市の胃がん検診の精度が向上することを願っています。
当院では、年々生検率は減っていて、昨年度はついに4.6%まで下がりました。
しかし、癌発見率・陽性反応適中率は過去最高の良い成績でした。
生検率・発見率ともに良くなった理由は、当院が開院して4年経過したからです。
4年も経過すると、当院で胃カメラを受けた回数が、2回目、3回目という患者さんが多くなってきています。
当院では初めて検査される患者さんですと、良性か悪性か迷うような病変は、念のため生検せざるを得ません。
しかし、2回目、3回目の患者さんだと、前回の生検の記録があるので、前回の「念のため」の生検結果が良性で、今回も見た目に変化がなければ、わざわざ生検をしなくても済むわけです。
逆に、今までの写真に無かった病変が、急に、新しく出現してきた場合には、癌を強く疑う事ができ、効率の良い生検ができます。
当院では、デジタル画像管理システムで過去の画像と比較しながら検査をしていますので、このような事が可能です。
毎回違う医療機関で検診を受けるよりも、同じ医師のもとで2回以上検査を受けることで、より精度の高い胃がん検診が受けれらるわけです。
過去に一度も胃カメラを受けたことが無い方はもちろん、過去に当院で胃カメラを受けた事のある方も、今年も是非、当院へ胃がん検診にお越しくださいね。