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おおの内科日記

大腸カメラ詳細

2019年04月05日

おおの内科クリニック 院長です。

初年度の1年間に、当院で大腸カメラを受けられた416名の方のうち、ポリープ切除をされた方は142名でした。

ポリープ切除以外にも、進行がんや炎症性腸疾患の診断のために生検を行う場合もあります。

生検またはポリープ切除を行った病変数(1名で複数ポリープ切除されている方もいるため)は、全部で272病変でした。

その内訳は下表のとおりです。

SSA/Pという耳慣れない病名がありますが、これは一見すると過形成性ポリープに見えるものの、大腸腺腫と同じように癌化する可能性のある、切除が必要な病変のことです。

過形成性ポリープはほぼ癌化しない良性病変なので、これを切除することは利益がないばかりか、出血や穿孔などのリスクを負う上に、高額な治療費負担など不利益ばかり生むことになり、極力避けなければいけません。

大腸腺腫やSSA/Pか、過形成性ポリープなのかは、切除したポリープを、後日病理検査という、顕微鏡を使った細胞レベルでの観察をしないと最終的な診断はつきません。

だからといって、見つけたポリープを手あたり次第にすべて切除するのでは、患者さんの不利益が計り知れません(意図的に行っている場合は悪質だと思います)。

当院ではハイビジョン内視鏡やNBIという特殊光を用いて、大腸腺腫など切除する必要のある病変かどうかを事前に区別できるように心掛けています。

ただし、中には見た目だけでは大腸腺腫やSSA/Pとの区別が非常に難しいものもあり、過形成性ポリープの切除をまったくゼロにすることも困難です。

以下は、当院で切除したポリープの、病理検査結果の内訳です。

過形成性ポリープ以外のポリープを見分けて治療できた確率は、94%でした。

全国トップレベルの内視鏡専門病院での集計で、拡大内視鏡という特殊な内視鏡をつかった場合のポリープの正診率が93%と報告されていますので、通常のハイビジョン内視鏡の当院が同等の診断率であることは、誇らしい結果であると言えると思います。

なぜ拡大内視鏡を使わないかというと、当院では検査時の苦痛の軽減を最重視しており、細径タイプでスコープガイド機能付きのものを採用しているためです(細径、スコープガイド付きかつ拡大観察機能付きのものはまだありません)。

引き続き、患者さんの利益を最優先に考えた内視鏡診療を行っていきたいと思います。

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