当院での糖尿病診療③
こんばんは、院長です。

今日の記事はインスリン療法に対する、当院での考え方についてです。
当院では2型糖尿病患者へのインスリン投与は極力避けています。その理由は、以下に続きます。
糖尿病の研究会に行くと、インスリン療法についての話題が盛んです。
インスリンの発見は数多くの1型糖尿病患者の命を救った世紀の大発見であり、ノーベル賞も受賞しています。
インスリン療法の対象者は本来は1型糖尿病患者なのですが、血糖値が良く下がるので、最近は2型糖尿病患者にも初期から好んで使用されるようになってきています。
糖尿病の分類について、大まかに説明します。
〇1型糖尿病とは、体内のインスリンが足りない状態です。
免疫の異常が原因で起こります。インスリン注射が必要です。
〇2型糖尿病とは、体内のインスリンが多すぎる状態です。
生活習慣病が原因で起こります。インスリン注射は不要です。
※但し、2型糖尿病の患者にも、インスリン注射を使用すべき場面があります。
・妊娠糖尿病で、内服薬が胎児に悪影響を及ぼす可能性がある場合
・手術前後で、血糖値を確実に正常に保つ必要がある場合
・糖尿病性昏睡など重症で、すみやかに血糖を改善する必要がある場合
・重症の感染症にかかり、すみやかに血糖を改善する必要がある場合
しかし、上記の場合でもインスリン注射が不要になり次第すみやかに内服薬へ切り替えなければいけません。
気がかりなのは、2型糖尿病なのにずっとインスリンを処方し続けられている患者が多くいることです。 もともとインスリンが多い状態なのに、さらにインスリン製剤を注射すると、インスリン超過剰状態となってしまいます。 インスリンが足りない人には必要ですが、すでに過剰な状態の人に投与することは避けなければいけません。
当院では、以下の理由から、必要な時にはインスリンを使用し、必要がなくなれば速やかに中止するように努めています。
インスリンには発がん性があります。
研究者の間では、インスリンが癌を発生・増殖させることはずっと以前から常識となっています。
癌細胞の表面にはインスリン受容体があり、癌はインスリンを栄養にして増殖するためです。
動物実験レベルでは報告がすでに多数ありインスリンが各種の癌を発生・増殖させることが確認されています。
実際の患者にはどうかというと、2004年に中国の臨床研究で、2009年にはイギリスの臨床研究で、インスリン製剤使用患者で癌の発生率が増加することが明らかにされました。
しかしその後、2013年にORIGIN試験というアメリカの大規模研究で、インスリン製剤使用患者で癌は増えなかったという反対の結果がでたため、これを根拠にインスリン製薬メーカーは安全性を主張しています。ただ、この研究はインスリンの製薬企業からの依頼で行われたものであり、癌抑制効果のある糖尿病治療薬も併用していた患者が5割以上も含まれていたことから、結果の信ぴょう性が疑われています。
インスリン自己注射は高額です。
在宅自己注射管理料(月28回以上) 700点
血糖自己測定器加算(月60回以上) 830点
注射針加算 130点
合計 1660点
つまり、3割負担の患者の場合、毎月4980円も支払いが増えることになります。